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統合失調症とカウンセリング

先に申し上げます。

精神科の「統合失調症」という「書面上の診断」ほど、あてにならないものはないです。

医師の問題なのではなく、抗精神病薬を出すためには「統合失調症」という病名が必要だからです。

そのため、世の中にはいっぱい「統合失調症」の方がいるのです。

認知症の方も「統合失調症」とついているくらいです。

 

とはいえ、まずはその症状です。

いわゆる、幻覚(あるはずのない五感を訴える、例えば人がいる、声が聞こえる、等)と、妄想(あるはずのない考えに支配されてしまう、例えば自分は監視されている、悪口を言われている、等)による行動や思考が見られ、

意欲の減退など、本来あるはずのものがなくなってしまう症状に苛まされる、精神的な病です。

精神科領域においては、非常に中核的な症状と言えます。

 

それを踏まえた上で、統合失調症とカウンセリングについてですが…

中核的な症状が出続けている方は、カウンセリングよりもしっかりと医師の治療を受けるのがベストだと思います。

当オフィスは薬物療法を否定しませんし、むしろ必要な方はしっかりと治療された方がいいと思っております。

 

ですが、実は統合失調症でないのに統合失調症と診断をつけられている方もたくさんいらっしゃいます。

例えば、急性一過性の精神病性障害。

例えば発達障害(特に大人の)。

例えば思春期の問題。

私は臨床心理士ですので、あくまで心の面から患者(と呼ばれる人)を見ていきます。

すると、不思議なことに、統合失調症の方は診断を受けている方よりも実際には少ない印象なのです。

それを教えてくれたのは、ある患者でした。

 

その方は、明らかに、誰が同じ環境にいたとしても、極めてストレスフルな環境に置かれていました。

そんな環境が、恐らくは10年以上続いています。

そしてある時、幻聴に導かれて他者に迷惑をかける行為をしてしまい、結果として警察の厄介になってしまい、その後入院となりました。

医師の薬剤選択は適切だったようで、すぐにその患者は驚くほど回復しました。

幻聴もなくなり、日常生活を取り戻すことができました。

そして彼女は再びストレスフルな環境に戻りました。

そしてまた幻聴とともに入院してきました。

 

診断は間違いなく統合失調症でしょう。

しかし、その背景にはもう少し心の問題が潜んでいると考えられます。

なぜ、その患者はストレスフルな環境に居続けるのでしょう?

 

そう考えた時に、必ずしも統合失調症の治療は薬物療法だけではないと感じていただけると思います。

人は誰しもが統合失調症になりえます(人口の1%は罹患するといわれています)。

しかし、それは結果論です。

心の在り方を見た時に、なぜかくもそのつらい状況に居続けるのか。

なぜ発症してまで同じ環境に戻るのか。

そこに、カウンセリングによって症状や人生を改善できる可能性が出てくるのではないでしょうか?

 

繰り返しますが、統合失調症の中核的な方は、医師の治療がいいと思います。

しかし、それだけではなかなか改善しない方は、カウンセリングによって改善する可能性があります。

 

昔は「統合失調症」と診断がついたら、精神科病棟へ入院し、超長期に渡っての入院、その後の人生は病棟で過ごす、家族もだんだん離れていく、そんな時代は残念ながらありました。

しかし、今は薬も劇的に改善し、社会復帰を考えられるようになってきています。

 

「統合失調症」と診断のついている方、全員ではないですが、カウンセリングによって改善する可能性はあります。

是非一度考えてみてください。