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大災害・テロなどの心理的ケア ~川崎市多摩区登戸の無差別殺傷事件~

2019年5月28日にまた痛ましい事件が発生いたしました。

川崎市多摩区登戸駅近くにて、50代の男性が歩行者を相次いで切りつけ、また小学校のスクールバスを待っている児童を襲、19名が被害を受け、またお二人が亡くなられたという事件です。

 

事件の被害者、そのご家族のご心痛を想像すると、言葉に表せないほどの気持ちとしか表せません…

実は私の居所もこの事件現場から数分のところであり、自分の気持ちもまだまとまらない中、文面にて情報発信をしていいものかと悩みましたが…

 

このような心理的なショックが大きい事件後には、直接現場に居合わせた方はもちろん、TVの報道などを見て遠隔の方のメンタル面が大きく不調をきたす事例も背景したことがあり、また私のところにも少なからず近隣保護者の方からお問い合わせが入っており、少しでもそういった方のお役に立てればと思い、筆をとりました。

 

大きな災害・テロなどの後は、多くの方が急性ストレス性による反応を呈します。

いわゆるフラッシュバックや、突然の気持ちの波、睡眠の変化などです。

その際に有効なアプローチと言われているのが「サイコロジカル・ファースト・エイド」です。

そこには専門家が現場に入るところから、適切なところへリファーするまでの流れが具体的に書かれています。

本日はその中からご家庭でできるいくつかのトピックスをごく簡単にご紹介いたします。

(記事の内容は保護者視点で書いています)

 

まず、直後に何より大事なことは「安全と安心」の提供です。

今回は小学生が多く被害にあってしまいましたが、まず保護者にできることは今は安全であり、安心になっていると伝えつつ、子どもがそれを少しでも感じられるような環境を用意するのが有効です。

夜寝られなくなることもありますが、一時的に一緒に寝てあげるというのも有効でしょう。

事件が起きても日々の家事はやらなくてはならない(例えば食事の準備など)というのは重々承知ですが、一時的に子どもと一緒にいられる時間を多くとれるようにするのも良いでしょう。

いつも通りの子どもの遊びも重要です(大人もですが)。

特に子どもは言語化がまだ十分ではありませんので、絵や音楽も有効です。

逆に、過度に根ほり葉ほりすること、細かく当時を思い出すような刺激に触れさせることは全くの逆効果です。

 

次に「安定化」です。

ごく一般的に、混乱している人や情緒が不安定な方へ「落ち着いてください」というメッセージは、大抵の場合あまり効果がありません。

そのような場合、クールダウンと呼ばれるような時間、静かな環境、隣にいるという安心感、今後の見通しを伝える、正確な情報を伝える、今の周りの状況を伝える、などの方が役に立つことが多いです。

あまりに不安定な場合、医師に相談、何らかの薬物療法をすることも有効です。

 

このような大災害・テロなどにおいては、この初動が重要になると考えられます(他にもありますが、特にご家庭において)。

やれることがわかれば親御さんも少し安定するかとも思います。

どうしても時間経過が必要にはなってしまいますが、ご心配であれば近隣の心療内科にかかってみるのも良いでしょう。

 

以上簡単ではありますが、本日は「サイコロジカル・ファースト・エイド」の一部をご紹介させていただきました。

上記内容は、兵庫県こころのケアセンターさんが無償にてpdfファイルを提供されている内容を、私なりに簡略化・お伝えさせて頂きました。

 

正確な内容は下記リンクよりアクセスしてみてください。

親御さんの役にもたつ「付表」もあり、「子どもがこういった場合、どうすれば…」といったものも載っております。

(商用は不可のようです)

http://www.j-hits.org/psychological/

 

微力ながらではありますが、少しでもどなたかのお役に立てればと願っております。