ピアサポート…
一般に「同じような立場の人によるサポート」といった意味で用いられる。
(wikipediaより)
ピア(peer)とは仲間の意であり、たとえば過去に薬物やアルコール依存になってしまった方達が定期的に集まっているグループがあったり。
慢性疾患などの集まりであったり。
ある意味ママ友などもここに入るのかもしれません(笑)
精神科やカウンセリングオフィスでの経験から、その有効性と危険性の両面から個人的に考察をしてみようと思います。
1.ピアサポートの有効性
有効性は疑いようがありません。
自分と同じ環境や状況の人と、普段はなかなか言えないことを言えるというのは大きな効果があることは想像に難くありません。
そしてそれは相当程度同体験を持って、相手に受容されるわけですから、その経験は他に代え難いものがあるでしょう。
カウンセリングの基本は
①受容:相手のことを受け止める
②共感:相手のことを「あたかも」自分のことのように感じる
③自己一致:相手の感じることと、自分の感じることが一致している
の3つと呼ばれているのですが、ピアサポートの性質上全て満たされているからだと思います。
ちゃんとしているピアサポートであれば、上記のようなカウンセリングの基本が満たされ、情緒安定の効果などが見込まれると思います。
お互いをピア(仲間)として支えることもできるかもしれません。
2.ピアサポートの危険性
一方で、ピアサポートには危険性もあると考えています。
というのは、同じような経験をしている人の集まりのため、共依存の関係が成立しやすくなっています。
そのため、最初はグループで話していたのが、いつしか過度に親密になり、AさんがBさんに依存をし、Bさんも頼られるのを由として一生懸命になり、そして二人とも倒れていく、といったパターンが非常に多く見受けられます。
これは、ことさらメンタル関連だと多く見受けられます。
「自分も過去にそうだった」という理由で、ちゃんとしたトレーニングや指導も受けずに自称カウンセラー(治療者)を名乗っている人が、残念ながら数多くいます。
これを虫垂炎(いわゆる盲腸)で考えると、とてもおかしな話なのです。
彼ら彼女らの主張はこうです。
「私は過去盲腸でオペを(医師に)されたことがある。
だから私は盲腸を治せる。ピアサポートもできる」
そんなわけないでしょう。
外科の医師はいろいろとトレーニングや指導を受けているから、虫垂炎の外科的治療ができるのではないでしょうか?
気持ちがわかることやサポートができることと、ちゃんとした治療ができることは別問題なのです。
3.「ちゃんとした」治療者
当オフィスは精神科歴も長く(10年以上)、さまざまな疾患や状態の方の治療に関わってきています。
当然トレーニングや指導を受けています。
友人や家族、同僚などにお話しても改善しない場合は、ぜひ「ちゃんとした」ところに行かれてください。
「当事者だったから」と、その方を切り捨てるわけではありませんが、その「当事者」の方はしっかりとした治療を終えられているのでしょうか?
治療を終えた上で、自身が治療者になるためのトレーニングを受けているのでしょうか?
そのトレーニングは「自称」ではなく、公的なものとして認知されているものでしょうか?
最近は通信でもよくわからない自称心理資格も簡単に取れます。
30万位出せば、そこそこ有名な?カウンセラー資格が得られます。
しかし、事実然として、精神科や心療内科で精神科専門医と話したこともない方が、治療ができるのでしょうか?
当オフィスでなかったとしても、検討しているところは「ちゃんとした」治療者なのかどうかをしっかり見極めていくことをお勧めいたします。