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転職を繰り返す|心理的意味・理解と対応・治療法と解決法

転職を繰り返す30代男性

Eさんは非常に優秀な人で、学業的な成績も、飲み込みなども非常に早い方です。

仕事それ自体は完璧を目指すバリバリと働く人であり、業務の量・質とも高い方です。

しかし、大卒後、2年に1回くらいのペースで色々な企業を転々としています。

上司や同僚とうまくいかなくなることが多く、結局そこで働くことが嫌になってしまい、次の企業に転職することが多いようです。

その理由は、「上司なら○○すべきでしょう」「いや、このライン100%までやらないとダメじゃないですか」といったことから、上司や同僚との対人関係がぎくしゃくしてしまうことが多いようです。

 

理解と対応:

仕事の達成が非常に優秀な方にこそ、実は多い悩みの一つです。

いわゆる「大人の発達障害」などが原因ではないとしたら、この方の生きづらさは「認知の歪み」と呼ばれるものかもしれません。

 

こういった方は、お仕事面においては非常に優秀で真面目なお人柄の傾向があります。

設定した目標のハードルは非常に高く、自分に厳しく、他人にも厳しいところがあります。

自分の思う「かくある形」にすべきと無意識に思っていて、その形に向かって努力をします。

優秀で真面目ですので、その「かくある形」は自分では達成できるのですが、人間の能力は皆同じではありません。

自分で(ある意味ご自身で勝手に思っているとも言える)「かくある形」とならない上司や同僚というのが当然出てきます。

すると、その方たちと口論や軋轢が生じてきてしまうのです。

もちろん、お互い大人ですので一定のラインまでは我慢をしますが、何度目、何十度目かの軋轢の末に衝突をしてしまい、結果としてうまく仕事ができなくなっていってしまうのです。

その結果、転職を繰り返し、そしてまた同じことを繰り返してしまうのです。

元が優秀な人ですので、非常に生きづらいのですが、なかなか改善できないことが多いようです。

 

こういったものが「認知の歪み」と呼ばれるものです。

今回は「べき思考」と呼ばれるものが強いようです。

「べき思考」というのは、物事を「○○べき」と考えてしまう傾向のことです。

もちろん、大なり小なり誰にでもあるものですが、それがあまりに大きすぎると日常生活の生きづらさになってしまうのです。

電車は定時に来るべき

仕事は完璧にこなすべき

上司はこうあるべき

など・・・

こんなに「○○べき」ばっかりですと、生きづらそうです。

ですが本人はそのことに気づけません。

 

ここにカウンセリングをする意味が大きくあります。

ご自身では頑張っているのですが、その頑張っていることでかえってご自分の首を絞めてしまう時があるのです。

第三者の専門知識と経験を持った人が聞くことによって、この問題点を発見できる可能性が高いのです。

そして、「認知の歪み」を発見した場合は、それを緩めていくアプローチをすることができます。

一回の面接ですぐに改善することは難しいですが、何回か繰り返すうちに少しずつ改善していくことが見込まれますし、その後の人生もだいぶ生きやすくなることができます。

 

また、何故そんなに認知が歪まざるを得なかったのかを考えていくことによって、自分の人生において重要なテーマや想いがあるというのを発見することができます。

それによってもっと楽に生きられたりすることも、往々にしてよくあります。

 

転職を重ねる裏にある、本人の気づかない生きづらさも、しっかりとカウンセリングをすることによって改善できるかもしれません。