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臨床心理士という誤解と偏見

心理士という誤解と偏見

ここでは「心理」ということにまつわる、ありがちな話をご紹介しようと思います。

臨床心理士について知っていただければと思います。

 

(1)ほぼ言われること ①

初対面の方に自己紹介をする時に「臨床心理士」と名乗ることは多い。

私「初めまして。臨床心理士の蒔苗と申します」

Xさん「心理士! ってことは私の心が読めるんでしょ?」

……

読めるわけ、ないでしょう…まして初対面で…(苦笑)

テレパシーとか使えません(笑)

臨床心理士は、得意な理論(要は専門)を用いて人を理解し、そこに心理学の知見を活かした心理学治療アプローチを行う人です。

 

(2)よく言われること ②

私「初めまして。臨床心理士の蒔苗と申します」

Yさん「へぇ。心理士! 心理士ね、ふ~ん、心理士…何やっている人?」

……

臨床心理士の知名度って、やっぱりそれくらいですよね…

弁護士って言えばなんとなくわかりますし…

それはさておき…臨床心理士は色々なフィールドで活躍していますが、主に「心」をケアする現場によくいます。

精神科病院、心療内科クリニック、幼児ケア(施設等)、学校(スクールカウンセラー等)、企業内相談室、EAP(従業員支援プログラム、要は企業のメンタルヘルス分野の外注です)、珍しいところだと自衛隊とか、刑務所の更生プログラムとかをやってらっしゃる方もいるようです。

 

(3)ほぼ言われること ③

私「初めまして。臨床心理士の蒔苗と申します」

Zさん「へぇ、心理士! これからの職業だよね。最近うつとか多いみたいだし」

……

ちなみに、10年前も全く同じこと言われました。

先輩も20年位前も同じこと言われたらしいです。

10年後も20年後も同じこと言われるのでしょう…

いつからが「これから」になれるんだろうと、毎回思います。

 

(4)たまに言われること

「心理士なのに話全部しないと、そんなこともわからないんですか!?」

内容によりけりですが、聞かないとわかりません。

そして、その話が真実なのかもわかりません。

同じ映画でも、見ていて面白い人もいればつまらない人もいるでしょう?

 

(5)乱立する○○カウンセラー

最近は心理学ブームも手伝って、いろんなカウンセリング資格があります。

きっと、カウンセリングをインターネットで検索されている方は戸惑うことでしょう。

臨床心理士は独占名称ではありません。

そのため、いろんな類似の認定資格(どこかの団体が発行しているだけの資格)が乱立してしまっています。

今後国会の方でも整理をしていくようですので、期待して見守っているところです。

 

ところで、違いに関しては、主観が入るといけませんので、まずは私の知りうる事実を以下のように書いておきます。

 

資格:臨床心理士

資格元:文部科学省

資格取得期間:一般的には最低7年(大学4年+大学院2年+現場1年)

技術:言ってしまえば徒弟制度

 

資格:産業カウンセラー(いくつか似た名前がありますので、ご注意ください)

資格元:産業カウンセラー協会

資格取得期間:大卒後、一定の単位があれば講義を受けて受験

 

資格名:心理カウンセラー・心理○○カウンセラー・○○心理カウンセラー

資格元:民間or認可or自称に近い

資格取得期間:通信だと2か月の座学が今のところ最短で確認

 

資格名:スピリチュアルカウンセラー

資格名:占い師

 

ここから先は、私の主観も交えた違いですが…

心理的な治療に対して、どれだけちゃんとしたトレーニングを積んでいるかの違いがあるのではないかと思います。

臨床心理士が提供するのはあくまで心理的な治療やアプローチです。

必要があれば助言・指導等もする時もありますが、あくまでそれは治療やアプローチの一環です。

そして各人が先達に厳しく教えてもらいながら上達していきます(スーパーバイザー制度)。

 

しかし、困ったことに最近は精神科や心療内科にいたことない○○カウンセラーの方も増えているようです。

そもそも経験をお持ちでないのに、状態の判断基準などをどのようにされているのでしょうね?

昔、テレビで「私は医師です。今日初めてのオペです。でも、テキスト読んだから大丈夫です」なんてCMをやっていましたが…

 

肩書きではなく、経歴でしっかりと選ぶことをお勧めいたします。

何年やったか、ではなく、何を経験しているか、その経験は自分が話したい内容と合致しているのか、が重要です。

 

(6)カウンセリングって話してるだけでしょ?or聞いてくれるだけでしょ?

話しているのは間違いないです。

聞いているのも間違いないです。

そこから先が違います。

カウンセリングとは何か?を考えたときに、今まで多くの本がでており、著名な先生方が多くのお考えを示されています。

その中で私個人が思うことですが、カウンセリングの営みとは、その視点の一つは相手を理解することではないかと考えます。

そしてその理解を相手(つまりいらしている方)に伝え、そこから次を考えていくことではないかと思います。

「カウンセリングに行くんだったら、占い行った方がいい」と実際に言われたことがあります。

占いもある意味、相手を理解する行為です(そこに科学があるかは、私は門外漢ですのでわかりかねますが)。

占いはその先を「助言」という形でサポートをしますが、カウンセリングは「気づき」という形で一緒に考えていきます。

占いは先生が言うことを受信する形になりますが、カウンセリングは一緒に考えます。

そういったところが違いになってくるでしょうか?